中郷会新柏クリニック視察を行いました(2025年5月24日(土))

本イベントは「森林浴」ができる医療空間をコンセプトとする「新柏クリニック」のほか、同様の設計思想を反映した「めぐりの庭」「糖尿病みらい」を巡り、建築を通じた医療・福祉の新たな可能性を体感することを目的としました。

新柏クリニック/ 透析・腎臓・糖尿病・循環器内科 – 医療法人社団中郷会

視察の内容と学び:
今回の視察では、中郷会の元理事長でいらっしゃる木村靖夫さまと建設会社でプロジェクトを担当された森一晃氏(経営管理プログラム2023年修了)から直接お話を伺う貴重な機会となりました。建築主の「想い」と建築の力が融合したことによる、患者や職員にとっての快適性や地域づくりへの波及効果を、現場で肌で感じることができました。木造・木質空間と緑地の整備による「森林浴」が患者の心理にもたらす影響や、まちづくり構想に発展した経緯などについても丁寧にご説明いただき、参加者一同、非常に学びの多い時間となりました。
患者と職員双方にとっての機能性や快適性を高めるには、医療者と設計者が綿密にコミュニケーションを重ねることが重要だと今回の事例で明らかになりました。また、この協働により、クリニックの理念が建築とその運用に具現化され、その理念が建築を通して地域社会にも波及していくプロセスは、「理念の実現とまちづくりへの展開」として大いに参考になる知見になりました。

参加者からの主な感想:
•直接、設計意図や現場での工夫について詳しくお話を伺えたことで、現地ならではのリアルな学びが得られ、加えて建築主の強い想いとそれを建築という形で実現する力の重要性を改めて実感できる貴重な機会となりました。
• 医療者と建築家が密接に連携し、それぞれの専門的な視点が融合することで、患者や職員にとってより良い空間が創出されている様子を実感し、単なる施設設計を超えて医療と建築の相乗効果の意義についても深く考えさせられました。
• まちづくりや地域への波及効果、そして「森林浴」が患者の心に与える影響など、医療空間の枠を超えた新たな可能性や社会的意義についても多くの示唆を得ることができました。

企画者コメント:
建築は建築主を超えることはないと言われることがありますが、他に類を見ない木造木質の診療空間や、医療施設という枠組みを越え最先端と評される緑地整備・GXの取り組みは、正に、木村先生が想い描かれたクリニック像があってこそ実現できたといえます。特筆すべきは、これらの環境整備が、患者さんの体験や職員のアメニティを向上させることを通して、クリニックのブランディングへと昇華させている点だと思っております。限られた視察時間ではありましたが、建築や緑地の持つ力が、医療施設の経営に貢献できる可能性を、少しでも感じ取っていただけたなら、今回の視察の企画者としてこれ以上の喜びはありません。
建築主と設計者・施工者が深い信頼関係で結ばれ、互いの知識や意見を重ね合わせながら理想の医療環境を目指す取り組みを、今後もつづけていくことで、医療の未来に貢献していきたいと、私個人も想いを新たにした視察となりました。ご参加いただいた皆様に、心より感謝申し上げます。